犬夜叉リレー小説「新たなる伝説」

SIGの参加者が書いた、犬夜叉のリレー小説です。フォーラム#2「るーみっく考察・創作室」へアップロードされているものの転載です。


第1章 始まり written by ミナコ
第2章 鏡割り written by Samwyn
第3章 written by kela
第4章 分離分割式 written by HR
第5章 笑いばばあ written by Samwyn
第6章 無慈悲なる主人と哀れなる従者の悲劇的な物語 written by kela
第7章 過去へ written by パソ通2年生
第8章 written by ミナコ


#219/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (ZUN44102) 97/ 9/17 23:20 ( 44)
犬夜叉   新たなる伝説       bP 始まり
★内容

原作 高橋 留美子         作 大崎 美奈子
ひとつの家に火が付いた。
かと思えば、全部の家に火が付いた。
今は戦国時代、場所は四魂の村である。 その日村は犬夜叉という物の怪が
暴れまわっていた。                
犬夜叉は白い髪に白い動物の耳がはえている、犬のような物の怪だった。
桜は、この四魂の村をずっと守っていた。
「きゃーーーーーーーーーー!」
とつぜん、桜の妹の牡丹(ぼたん)の叫び声がした。
「牡丹!いったいどうしたの!」
桜は、声のした洞のほうへ、走っていった。
洞の中に入って、桜は、驚いた。
祭壇は荒らされ、しかも、祭壇の見張りをしていたはずの牡丹が
倒れていた。
「しっかりして、牡丹!」
「犬夜叉が、犬夜叉が玉を・・・・・・」
桜が祭壇を見ると、置いてあったはずの四魂の玉が無くなっていた。
「くそっ!」
桜は、祭壇の上に置いてあった丸鏡とお札をとると、外へ飛び出した。
「この四魂の玉さえあれば、俺は、真の妖怪になれる・・・・・・・」
「犬夜叉!」
桜の声がした。
振り向くと桜がいた。
「犬夜叉、今お前を封印する!」
「おめーーみてーなガキが封印出来るわけないだろ。」
「な゛っ」
怒った桜が、鏡に念じると、鏡から桃色の光が溢れだした。
「なっ?!」
光は、ヘビの様になり犬夜叉に絡み付いた。
「犬夜叉よ、この鏡に封印する!!」
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
断末魔をあげながら犬夜叉は、鏡に吸い込まれた。
「ふぅ。」
一息つくと、桜は「封印」とかかれた札を鏡にはった。
「お姉様!」
「牡丹!良かった無事・・・・・で・・・良かっ・・・・た・・・」
「・・・・・お姉・・・・様・・・・・?」
「牡丹・・・・・私は、もう生きられん、四魂の玉は私があの世へ持っていく
・・・・・・楓おばあちゃん・・・・今行きます・・・・・・」
そう言いながら桜は、生き絶えた。



       bP完


#220/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (QKM33822) 97/ 9/18 0:46 ( 57)
犬夜叉>新たなる伝説 2.鏡割り  Samwyn
★内容

 時は現代。荒れ果てた小さな神社に1人の女子高生が飛び込んできた。
「へっ、捕まってたまるかってんだ」
格子戸から外を覗く。初老の男が荒い息であたりを見回していたが、やがて悔
しそうに何事かぶつぶつ言ってから去っていた。
「ざまぁみさらせ。さて、と、お宝頂戴といきますか」
かの男からひったくったらしいカバンをひとしきり漁って見つけたサイフには
500円玉1枚しか入ってなかった。
「なっ・・・!? くっそー、あんのじじぃ、今度見かけたら後ろから蹴り入
れてやる!」
一応500円玉はしっかりポケットに入れながら少女はカバンを悔し紛れに後
ろにほうり投げた、と、ガチャンと何かの割れる音。
「あん? げ!?」
奥をのぞき込もうとした刹那、モワァッと煙のようなものが出て急に人の形に
なった。さめざめと泣く時代劇な幼女である。
「あんた誰?」
きつい突っ込みにもめげず幼女は自分の横を指差した。鏡が割れていた。
「なっ、なによー! あたしのせいだって言いたいわけ? 超ムカつく〜!」
さすがの幼女もムッとした顔で響くような声で言った。
「あなたのような人はこの鏡を覗いてはいけません。今すぐここから出て人徳
のあるお方を連れて戻りなさい」
「へ〜、何だ、あたしで十分じゃん。あたし友だちに人気あるよ」
そう言って少女は鏡の破片をひょいと覗き込んだ。後ろで幼女がニッと笑う。
「なっ!?」
不意に鏡から手が出て少女の顔をグワシとつかんだ。幼女がクククと笑って言
う。
「鏡を割った罰、この鏡に封印してあった妖怪をあなたの中に再度封印させて
もらいます! 汝が鏡に映せ移せば心ぞ岩屋たれ舞えや舞えや汝が罪のいや果
てるまで!」
少女の顔をテコに鏡から抜け出そうとした妖怪、すなわち犬夜叉はただちに法
力に捕縛され少女と一体化しようとする。互いに猛烈にいやがっていた犬夜叉
も少女もついにその力に抗し切れずガクンと1つに重なった。少女の髪がたち
まち白くなり耳がヌッと生える。呆然と座り込んでいた少女はハッとそれに気
づいて泣きそうになった。
「あ”〜っ、あたしの自慢のキューティクルヘアーがぁぁぁぁ!!」
「これを首にかけるがよい」
幼女は自分の足元にある4つの勾玉の首飾りを指差した。
「えー、何かダサ〜い」
ぶちぶち言いながらも少女は首にかける。たちまち耳は引っ込み髪も元の黒に
戻った。
「さて」
自分の首元の勾玉の間の小さな翡翠の玉から幼女がヌッと現われたので少女は
思わず驚く。
「わしは桜。おぬしは?」
「かごめ。石つぶてのかごめっちゃあ、この界隈の不良どもで知らねー奴はい
ねーぜ」
「ではかごめ。日々善を為し特に妖怪は進んで探し退治せよ。さすればいつか
はその妖怪も神となりおぬしもその首飾りから解放されようぞ」
「えー、超かったるぃしー。それにいつかっていつよー?」
「安心せい、その首飾り、四魂の玉はその強い力ゆえ自ずと妖怪どもを引き寄
せる。そうさな、数十匹も倒せばあるいは」
「あるいは、って、超いーかげんじゃない?」
「ことはおぬしの心の清らかさ次第じゃからな。妖怪退治はそのきっかけを作
るに過ぎん」
かくしてかごめと桜、そして心の闇に潜んでかごめの心を乗っ取らんと企む犬
夜叉とのグラッセな日々が始まったのであった。

                    2.鏡割り 終


#221/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (MXN30050) 97/ 9/20 1:33 (189)
犬夜叉>新たなる伝説 No.3   kela
★内容



 「じょーーーーっだんじゃないわよっ!! なんであたしが妖怪退治なんか
  しなきゃなんないのよっっっっっ!!」
 「そーは言うてものぅ このままじゃ、このままじゃぞ」
 「ふんっ 結局タチの悪い幽霊に取り憑かれたよーなもんでしょっ
  だったら すぱぱぱぁーんと祓ってしまやーいーじゃない」
 「まてまてまてーいっ」
 「きゃ! 何?この声?」
 「俺を無視して話を進めるなっ!俺は天下の大妖、犬夜叉様だっ!
  俺様を幽霊なんざと一緒にすんじゃねーっ!」
 「あんたね?あたしに取り憑いてんのは?うら若き乙女のバディをなんだと
  思ってんのよ!とっとと出て行きなさいっ」
 「うるせーっ 俺だって好き好んでこんなチンケな体に入ったんじゃねー
  やっ 文句があったらそこの桜にいいやがれっ!」
 「ふん! 見てなさい 先輩に頼んで祓ってもらうんだから!
  先輩にかかったら、あんたみたいな犬っころぺぺぺのぺいっよ!」
 「なんだと このアマーーー!」


 「ママー あのおねーちゃんヘンだよ」
 「シッ 指さしちゃいけませんっ」
 「だってヘンだもーん」


 「・・・(怒) ぜっっったい祓ってやるーーーーっ!」

 「こやつが人間に祓えるとは思えんがのう 
  まあ しばし様子を見るとしようかの」




 「こ・・・こんにちわー・・・」
 「あら、かごめさん ごきげんよう」

 その楚々とした少女の部屋は、高級ではあるが華美ではなく、落ち着いた
 気品に満ちていた。
 少し変わった所と言えば、カーペットの模様が悪魔召喚用の魔法円だったり、
 机の片隅に得体の知れないしゃれこうべが乗っていたり、奥から不気味な
 液体を煮ている音が聞こえてくるくらいか。

 「どうなさったの?かごめさん?」
 「じ・・・じつは・・・」

 かごめが首の勾玉をはずすと、「ぴこん」と耳が飛び出し、白くなった髪が
 サワッと背を覆った。

 「あら かわいい。 ほら お手」
 「先輩っ」
 「てめーかっ! 俺を祓おうなんて言ってるヤローはっ!」



「・・・とゆーわけなんですぅ」
 「・・・そう 事情は分かったわ。そういうことなら私に任せてちょうだい」
 少女はそう言って奥に声を掛けた。
 「例のものをこれへ」
 「ははっ」

 「・・・この薬はちょうど私が調合したものよ。 妖怪、幽霊、物の怪、
  化け物、その他ありとあらゆる怪異現象に壊滅的な効果があるわ。
  さ どうぞお飲みになって。」
 「はぁ・・・でもよくそんな都合のいー薬がありましたね」
 「そういうことは作者に言ってちょうだい」
 「え?」
 「なんでもないわ。 ささ くっと一気に」
 「はぁ・・・」

 トロリとした緑色に、時折ポコッと立つ泡を見ると流石のかごめも不安に
 なってくる。
 「あの・・・この体は私のものでもあるんですけど・・・」
 「ええ」
 「私のほーは だいじょーぶなんですよね?」
 「死ぬわよ もちろん」

 ・・・ぴき
 「先輩っ!」
 「お気に召さなかったかしら」
 「てめーっ 何考えてやがるっ!」
 「まあ かごめさん。そんな言葉使いをしてはいけないわ」
 「あたしじゃありませんっ」
 「そーとも。俺が大妖 犬夜叉様だっ! てめーこんなインチキで俺を
  どーにかできるとでも思ってんのかっ!」

 犬夜叉はかごめの体を操ってテーブルを蹴り上げると、一気に部屋の反対側
 まで飛び移った。
 「かごめっ!落ち着くのじゃっ!」
 「桜? なんなのよっ これはっ!?」
 「犬夜叉を封じておるのはあくまでおぬしの精神じゃ。平常心を失うと、
  こうなる。」
 「平常心って・・・この状況でどーすんのよっ」
 
 「くはははははーっ」
 犬夜叉(かごめ)は高笑いを上げて窓を突き破り、一息で屋根まで
 飛び上がる。
 このときその場に居合わせた人間が「ナントカと煙は・・・」とゆー
 古いことわざを思い出したかどーかは定かではない。

 「あら大変。こーなったらあれをやるしかないわね」
 「あれってなんです?先輩っ!」
 「悪魔の召喚よ 悪魔を召喚して犬夜叉君を殺してもらいましょう」
 「だからこの体はあたしものでもあるんですってばっ!」
 「大丈夫 私に任せなさい」
 「けっ おもしれー 悪魔でもなんでもやってきやがれってんだ!」

 少女は魔法円の中心に立ち、呪文を唱えた。
 「来れ! 悪魔よっ!」
 
 ぼんっ!

 「やだ ほんとに出来ちゃった」
 「せんぱいいいいいー」

 ぐぁおぅっっ!!
 
 「けっ 散魂鉄爪!!!」

 ドガァッ!!
 「「「ん?」」」

 「のう、かごめ これが悪魔というものか?」
 「いや・・・先輩?」
 「・・・不純物が混入したようね」
 「は?」
 「つまり、悪魔を召喚する際に 不純物の「、」が混入したのよ。
  即ち「あ、くま」で熊が召喚されてしまったわけなの」
 「・・・(怒怒怒)」
 「「なるほど!!」」
 「二人とも納得しないでっ!」
 犬夜叉と桜の息がぴったり合った記念すべき瞬間だったのだが、かごめは
 それを一蹴した。
 (ちなみにこの不純物は某のみじじいの初出演だったのだが、それはまた
  別の物語である)

 「と・・・とにかく・・・これで俺を止めるヤツはいなくなったわけだなっ
  いくぜぇっ!!」
 「ちょ、ちょっと犬夜叉っ 先輩ーっ」
 「まだ手はあるわ」
 なぜかアーミールックに身を包んだ少女は自信たっぷりに言い切った。
 「い・・・いつのまに・・・」
 「この手榴弾の爆発の衝撃で次元に歪みが生じて、それによってかごめさん
  と犬夜叉君の肉体が分離されるはずよ」
 「せ・・・先輩?」
 「安心して。 ここの敷地は広いから、多少大きな音を出してもご近所迷惑
  にはならないわ」
 「せんぱいいいいい」
 「大丈夫 私に任せなさい」
 「ぜぇんばぁいぃぃぃぃぃ」
 「そーれっ」
 「な なんだ?」

 ちゅどーーーーーん
 ばふーーーーーーーーん
 どげーーーーーーーーーーーーーーーん

 ひううううううううううう


 「やっぱり うまくいかないものね」
 「せ・・・せ・ん・ぱ・・・い・・・・」ガク

 「大丈夫よ 安心して。
  桜さん 聞こえる?」
 「んん・・・なんじゃ?」
 「この近くに錯乱坊さまという、とっても徳の高い すばらしいお坊様が
  いらっしゃるの。その方を尋ねれば きっとなんとかしてくださるわ」
 「むぅ そうか・・・よし 伝えておこう」
 「さ みんな お客様がお帰りよ。ご案内して」
 「はっ」

 こーして 犬夜叉(かごめ)はすっかり涼しくなった夕暮れに、一人(三人)
 ほーり出されたのだった。合掌。




 その夜。
 「了子 昼間来ていたのは友達か?」
 「ええ とっても楽しい方々ですわ。
  今度おにいさまにもご紹介してさしあげますわね」

 その時 了子は口の中で
 「今度がありましたらね」
 と付け加えたのだが、それはもちろん終太郎に聞こえるべくもなかった。



                      MXN30050     kela


#223/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (QFC98594) 97/ 9/27 1:36 (105)
犬夜叉>新たなる伝説 4分離分割式     HR
★内容

 「しょうじー、何見てんだよー。」
 「その首輪だよ。」
 「首輪…。首輪かも知んなぃー。」
 かごめは、語尾が上がるしゃべり方で答え、胸元の勾玉の方向に視線を移した。
 「チョーむかつくっ。」
 小声で言ったところ、翡翠の玉の間から声が聞こえた。
 「蝶がむかつくなら、洗いざらい吐き出すが良い。」
 桜という幼女が的外れな言葉で慰めかけた。それが火に油を注ぐ。
 「…マジでチョーむかつくっ。」
 「ならば、外してみるが良い。カッコワリイかキューテクルか何か分からぬが、外
さぬ方が身のためではないのかのう。」
 「きぃーーっ。」
 そこに「しょうじ」が、ぼそりと声をかけた。
 「さっきから何言ってんだよ。おめー、最近ダセーぞ。」
 「ダセーって、何がー。」
 「モノノケっぽい。」
 そう言われて、すぐに返事を返せなかった。気を取り直してかごめは切り返した。
 「…で、今日、何の用よー。」
 「モノノケなんだよー。キツネつきだか何だか知らねえけどよー、オハライの先生
のところへ行けってよー、ママが言うんだよー。」
 「それってー、今日行けって感じー?」
 「…」
 「それで今日つきあえってことー?」
 「…」
 「日暮神社じゃないんだー?」
 「…」
 「ダッセー。」
 かごめの問いに「しょうじ」は、否定をしなかった。「しょうじ」はかごめを古い
住宅街の一軒に連れていった。その道すがら、桜は引き留めようとはしなかった。あ
の口やかましい桜は何も言わなかった。
 住宅街は50年以上続くようだが、それでもアルミサッシに替えたり、トタン板を
付けたりする家が大半だった。しかし、目的のオハライの先生の家は、全然手を加え
た跡がない。いや、加えた跡はあるが、それらはお札やしめ縄によるものだった。
 「しょうじ」は、玄関先で声をぼそりと上げた。それの以前から、先生の隣家の庭
先で犬が吠えていた。白いムク犬が、見慣れぬ人を警戒しているようだ。
 「あのー。」
 そしてガラス戸をノックし30秒近くたって、玄関に明かりが点され、飴色の樹脂
製のロイド眼鏡をかけた老人が出てきた。
 「おお、高崎くんか。今日も来てくれたね。さあさあ、立派に更生できるよう、今
日もチチブ様にお願いするんじゃ。」
 はあ、とだけ「しょうじ」は答えた。老人はかごめに気付いた。
 「しょうじくん、将来の細君かね。」
 その返事を待たずに老人は続けた。
 「二人揃って社会更生を目指すとは、いい心がけじゃ。憑き物を落としたら、まっ
とうな人間になれるんじゃ。」
 「しょうじ」に同伴を頼まれた以上、かごめも老人の家に上がった。家の中は古く、
黒い。よく見ればホコリが積もっていることろもあるが、散らかってはいなかった。
すえたようないやな臭いはしなかったが、ホコリっぽい臭いはした。三人は四畳半間
に入った。家と同じように古びた祭壇があり、手前に榊や点火してある蝋燭が並んで
いた。
かごめと「しょうじ」は老人に従って、腰を下ろした。祭壇に向かう。鏡がまつら
れていた。鮮明な像は見えないが、しかしぴかぴかに磨かれていた。
 「あっ、鏡。」思わず声に出してしまって、はっと桜のことと妖怪・犬夜叉を思い
出した。だが、胸元の勾玉が脈打ち、桜が動き出したのは気のせいだった。ちらちら
と、「しょうじ」がかごめ自身を見ているのも、勾玉や髪が白くなるのを発見したか
らではなく、老人から解放されたいという願望の表れだった。「ダセーよなぁ。」
 老人は、鉛筆のような大きさの角材を櫓型に積み上げ、火を付けた。燃え上がった
ところで数珠をすりあわせ、呪文を唱え始めた。かごめは我が耳を疑った。呪文はお
経だった。鏡と言えば神器なのに、仏教や密教もどきのことを老人はしている−−。
かごめにも、感覚的にそういう違いは分かった。「このオジン、何インチキしてるん
だよー。」
 老人は、何かを筆書で書きつけた小さな薄板を一束、二束を焚付けた。そこで、か
ごめは立ち上がった。
 「『しょうじ』ー、帰ろ! ここ、インチキだよっ。」
 老人の読経が止まり、二人はかごめを見つめた。それほど、大きくよく通る声だっ
た。
 「ここ、鏡まつってるでしょ。神社と同じじゃん。だけど、オジサンのやってるの、
お寺でやってるのと同じだよ。ムチャクチャだよー。」
 老人は落ちついて答えた。
 「そんなことはない。明治維新の前は、神社と寺が一緒なのは当たり前じゃ。わが
住田研究所では、現代人に失われた精神文化の復活を目指しておる。その成果を、高
崎くんのお母さまが認められて、現に『しょうじ』くんが熱心に通ってきているでは
ないか。君も、更生しようとして、ここに来たのではないのかのう。」
 「…ダッセー。」
 かごめは吐き捨てた。「しょうじ」は、二人のやりとりを、おどおど見ている。
 「コーセーだか、シセードーだか知らないけどー、カミサマでマジメになれたら、
世の中平和だよ。なれるわけないじゃん。だから、インチキなんだよ。」
 かごめは、そこで老人の反論が来ると思ったが、無視して「しょうじ」を引っ張っ
て帰ろうとした。が、老人は自分の容姿を見て驚いていた。「しょうじ」もモノノケ
を見るような表情だった。かごめは犬夜叉になっていたのだった。
 気がつくと、焚付けの上に桜が浮いていた。
 「かごめよ、汝にも人徳があったのじゃな。見直したぞ。」
 今度は、かごめたち三人が桜を見ていた。
 「神仏を敬う心が無いのは分かっていたが、それは汝が神頼みをしない故だったの
じゃな。いまの汝の一言で、しかと分かったぞ。神も頼られてばかりでは、迷惑じゃ。
頼る前に、おのおので為すべきことはあるであろう。」
 かごめは、何を言っているのか分からなかった。老人や「しょうじ」とともに、犬
夜叉の姿で、桜を見つめていた。桜は続けた。
 「かごめ、そなたには人徳があるぞ。よって、わしは鏡に納まるぞ。」
 そういえば、「住田研究所」にはおあつらえ向きに鏡がある。ははん…。桜は、鏡
に向かって姿を縮めつつ納まろうとした。
 「ちょっと待ってよ、私の格好どうにかしてよっ!」
 桜は振り返ることはなかった。しかし、声が響く。
 「案ずるな。犬夜叉なら、新たに封じこめたぞ。」
 えっ、と頭に手を当てると、犬の耳はなかった。髪を手に取ると、元の暗い色に戻っ
ていた。
 ぱちぱちと気のはぜる音がした。沈黙を破るまで、何分たっていただろう。三人と
も放心していた。かごめは気を取り直した。
 「お邪魔しました。『しょうじ』、帰ろ。」
 そう言って、「住田研究所」を二人は出た。すると、隣家の前に一人の高校生くら
いの男が妙な格好で立っていた。緋色の装束で、白い長髪、犬の耳。
 犬夜叉が、いた。

                    4 分離分割式  了



#226/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (QKM33822) 97/11/ 2 20:46 (135)
犬夜叉>新たなる伝説・5 笑いばばあ  Samwyn
★内容

犬夜叉がいた・・・と思ったら北条くんだった。
「やあ、日暮。難聴にひどい肩凝りだって? 大変だな、おまえも」
耳に見えたのはどーやら新型の補聴器(もちろん『ほちょーっ!!』とか叫ぶ
マシンではない、念のため)らしい。
「使えよ、これ」
「あっ、ど、どーも、いつもいつもす・・・ごめんね?」
斜に構えてガンを飛ばすしょうじの頭を鋭くはたきながらもあたしはちょっと
ブリっ子入れてそれを受け取った。家では聡明なお姉様、学校では何の変哲も
ない一子ギャル、放課後は石つぶてのかごめ、だからこんな急な出会いの場で
はついごっちゃになっちゃう。
「こ、こいつ、あたしの従兄弟、沖永良部島から遊びに来たの」
「なぜ沖永良部島あたっ!」
小声の突っ込みを再度鋭くはたきながらあたしは場をとりつくろうために意味
もなくニコッと微笑んでみた。北条くんも、心からの微笑みでお返ししてくれ
たけど返ってあたしの胸が少し痛んだ。
「チェッ、やってらんねーぜ」
しょうじはあたしの突然の変化に戸惑い気味に、でもまたちょっと北条くんに
しっかりと別れのガン飛ばしをくれながらもブツブツ言って帰って行った。
「家、先に帰っててね〜」
片手を大きく振りながら北条くんから見えない方でシッシと追い払うあたしっ
ていわゆる悪女?
「それと、これ」
「え?」
いきなり前にデンと置かれたのは電気按摩椅子しかも豪華ソファータイプ(も
ちろん1人用だけど。考えてみれば2人並んで座れるそんなのって傍目かなり
不気味? みたいな?)。
「座れよ」
どーやって持って来たんだぁ〜! と言うあたしの心の叫びも空しく北条くん
は手を振りながら微笑みを残して帰って行く。あたしもアハ、ハと苦笑い気味
で手を振り返したのだった。

「〜〜〜〜〜・・・」
声にならないうめきで必死こいて背中に椅子を背負って家へととぼとぼ(って
言うかほとんど『よろよろ』なんだけど)歩くあたしって善良なお人良し? 
なんて思っているうちは良かったけどふと気付くとすれちがう通行人諸君がみ
んなクスクス笑っている(けげんそうに横まで来ていきなりプッと吹いた男子
若干3名、月の出ない夜は背後に気をつけるよーに!)。バカだ、空前絶後の
バカだ、という悟りが不意過ぎてあたしは思わず心の声をアウトプットしてし
まった。
「何かあたしって・・・巨バカ?」
「何でえ、よくわかってんじゃねーか」
半分は背中を伝わって来る変に耳慣れた声(だって今までずっとあたしの口か
ら出てたんだもんね)にあたしはギョッと振り向く、いや、背中の椅子のせい
で首はほとんど回らないだけど、背後の気配に心を澄ます。
「あんた、犬屋沙ねっ!?」
「謎の中国人みてーな呼び方すんじゃねー、犬夜叉だっ、犬夜叉!」
「ちょっと、下りてよ! 重いじゃないっ!!」
どーやら犬夜叉はいい御身分気取りで椅子にふんぞり返っているらしい、まじ
ムカつくやつ〜!
「てめー、俺様は妖怪だぞ。ちったぁ怖がれ!」
「あー怖い怖い。はい、もーいでしょ、とっとと下りてよ!」
「・・・・・・ふっ」
怒気を発散させながら(土器をばらまいたわけではない、念のため)不意にこ
の男は鼻で笑った。
「そーゆー奴ぁこーだ!」
そー言いながら電気按摩のスイッチを入れたからたまったもんじゃない、ウネ
ウネとあたしの背中で椅子がうごめくことうごめくこと。
「あ”あ”あ”〜背骨が折れる折れる折れる〜やめてやめてやめて〜」
こんな場面、背中にコスプレ野郎の乗った椅子背負ってブルブル震える声で気
持ちいーのか痛いのよくわかんない表情でこんなことをうめく姿を人に見られ
た日にゃあたしゃ明日から町内の笑い者、ってしっかりレディース&ジェント
ルマンついでにボーイズ&ガールズ諸君に目撃されているのだけれどもそれは
まあ良い。ついにあたしはブチッと切れて犬夜叉ごと椅子を渾身の力で放り投
げた。
「痛いって言ってんでしょ!! やめてよ、マジで!!」
不意にまわりから拍手が巻き起こる。さっきのバカ丸出しの有様からキリッと
した風情に戻った変化が痛く感銘を与えたらしい。あたしはつい手をあげて笑
顔でへこへこと(『どーもどーも』って感じ)お辞儀してしまった。

「くっ・・・!」
ふと我に帰って振り向いた時には椅子が転がっているだけだった。しばし拳を
握り締めていたあたしはやがてフッと前髪を払った。
「尻尾巻いて逃げたってわけね、さすが犬らっしゃい!」
最後が妙に語気が強いのは再び怒りが甦って来たため。フッと肩を落として一
歩前へ足を出した瞬間ぬらりひょん(ターニャ?)よろしく犬夜叉がベロンを
舌を出しながらあたしの目の真ん前にガクンと落ちて来た。一瞬ギョッとして
しまったあたしは目の前の逆さ犬夜叉など存在しないかのように強引に肩で押
し退けて歩き出した。
「・・・ふっ。尻尾巻いて逃げるってわけだ、ばかごめ?」
あたしは怒気(土器じゃないよってくどい?)も凄まじくキッと振り向いてに
らみつける。犬夜叉はクールに笑ってストッと下り立った。
「ま、鏡から出してくれたことは感謝してやる。でもな、おめー見てると桜の
馬鹿野郎思い出してむかつくぜ。今回は見逃してやるからとっとと家に帰って
クソでもして寝な!」
「・・・ふっ。ふふふふ、くくくくくく」
マジで切れた。限界を超えた怒気が野獣的快感に変わるのを感じながらあたし
は口元だけニヤリと笑って目はギリギリと犬夜叉をにらみつけた。
「やあ、デルモンテちゃん」
突拍子もなく気の抜ける声。校内一のなになあれ、歩野だ(『ふの』って読ん
でね、うふっ)。
「こんなところで何してんだい?」
しょーがないな〜と振り向いたあたしがズッコけたのも無理はない、この万能
科学少年はベッドに上半身起こしてモーニングティーなんぞをすすっていたの
だ。
「どーだい、ぼくのホバーベッド? でもね、実はまだまだ試作品なんだ。完
成した暁には、波動エンジン搭載銀河系間飛行ベッドになるんだよ。素敵だと
思わないかい? 前後左右上下すべて星の海の中、ベッドに座ってモーニング
ティーを飲みながら光速の96.2%で土星の輪を突き抜けるんだ」
それはともかくホバー噴射のうるさいこと埃をブンバカ吹き散らすこと。
「蹴って、犬夜叉」
犬夜叉もあたしと同じ気持ちを抱いていたのか、無言無表情でベッドの端を軽
く蹴る。さすがホバーベッド、すべるような気持ち良さでアッというまに視界
から消えた。

「あの・・・」
いくらかバツの悪い顔でまたにらみ合い、気分を戻そうかと犬夜叉がコホッと
咳をした刹那その真後ろの電柱から顔半分だけ出してのぞく少女の存在に犬夜
叉は思わずギョッと飛び退いた。や〜い、妖怪のくせに人間様にビビってやん
の、だっせ〜。
「朝子ちゃん! いーところに来てくれたわ!」
そう彼女は知る人ぞ知る夜野朝子、学園一のアイドルにして心霊研究会部長、
こーゆー場面では一番頼りになる病弱な美少女だ。あたしは彼女のそばに駆け
寄って手を引いて電柱裏から出してあげた。
「あいつ、自称妖怪なのよ! 朝子ちゃんの霊力で追い払っちゃってよ!」
「まあ、妖怪・・・さん?」
彼女の頬がポッと赤くなる。あたしと犬夜叉はその意外な反応に思わずぼのぼ
のしてしまった(表情変えずに汗一杯ってやつ、ね)。
「あの・・・握手・・・して・・・いただけます・・・か?」
この微妙ないい意味でレゲエのリズムっぽいノリに犬夜叉もつい引き込まれて
しまうらしい、あせるよーな困惑するよーな顔でうなずいた。
「あ、ああ」
「うれしい・・・!」
顔一杯の微笑みで駆け寄るのかと思ったらいきなり鼻と口からエクトプラズム
全開、それが手の形になって犬夜叉の元までにゅにゅい〜んとのびた。
「・・・これで、いーのか?」
ひとしきり握手が終わるとそれはまたにゅにゅにゅい〜んと戻る。
「ああ、ああ! 嬉しゅうございます! 私、生涯の伴侶となる殿方はこんな
風に握手してくださる方と、って幼い頃から心に決めておりましたの!」
ああ、これってもしかしてもしかしたら、いきなり修羅場ってやつ!? どー
する犬夜叉!? どーするあたし!? 逃げるかなりゆきを見守るかそれとも
電気按摩椅子に座ってくつろぎまくるか!? チケット売って丸儲けって手も
悪かないけどそれ用の紙が手元にない!! さあさあどうするどうする次回乞

Samwyn


#229/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (MXN30050) 97/11/20 2:38 (120)
犬夜叉>無慈悲なる主人と哀れなる従者の悲劇的な物語 kela
★内容



 「あの・・・もう一つだけ・・・いーですか?」
 往年の少女漫画のごとく瞳に星を散りばめてにじり寄る心霊研究会部長夜野朝子。
 この瞳には一般男子生徒ならダース単位で陥落できる威力がある。ちなみに
 現在までの最高記録は58人だそーだ。
 「な、なんだよ」
 「KISS・・・してくだい」
 「・・・・・・(きす?きすってなんだ?魚か?魚をどーするんだ?)」

 「ちょ、ちょっと!」
 犬夜叉の密かな葛藤をよそにかごめが口を挟む。
 「あんたたちっ!こ、こんな公衆の面前で・・・」
 実はこのときかごめの胸の奥にはほんの少しだけ、いがらっぽいものがあったのだが
 とりあえずここは一般的な公衆道徳で押し通す。無論普段のかごめが公衆道徳なるもの
 をどう扱っているかは、心の棚の上である。
 
 かごめの声を無視して犬夜叉との距離をじわりと詰める夜野朝子。
 まったく状況がつかめていない犬夜叉。
 次の一手を決めかねるかごめ。
 夜野朝子、優勢である。
 「犬夜叉さま・・・」

 スッ

 朝子は犬夜叉の懐に踏み込むと、一瞬の隙をついてくちづけた。

 「!」
 かごめが息を呑んだのも束の間。

 「ずっ・・・ずももももももももももももももももももももももももももももももも」

 「な・・・・なに?」

 「ももももももももももももももももももももももももももももももももももももも」

 犬夜叉の瞳から野生の光が消えていき、忘我と恍惚の色で満ちていく。

 「ももももももももももももももももももももももももももももももも・・・ちぽん」

 「ふっ・・・これでもーこいつはわしのもんじゃ・・・・」
 「あ・・・朝子・・・ちゃん?」
 「朝子? くっくっく・・・朝子やないわい。
  わしは鬼族。魂食い(たまぐい)の蘭じゃあっ!!」
 「え゛・・・えぇーーーーーーー!?」
 「くっくっく・・・貴様の首の四魂の玉、死にとーなかったら・・・渡してもらおか」
 「わ・・・渡すったって・・・あたしだってこんなもん惜しかないけどっ、
  これ、はずそーとしたってはずれないのよっ!!」
 「ほー。さよか」
 「そーよっ!だから・・・」
 「おーかた なんや呪いでもかかっとるんやろ。 
  ま あの四魂の玉や、それぐらいのこたーあるやろな」
 「だ・・・だからっ・・・」
 「けどまー 心配するこたないで」
 「え?」
 「貴様が死にゃあ、呪いも消えるっちゅうのがお約束や」
 「で?」
 「やれ」
 「散魂鉄爪!!」
 「でええぇぇぇぇっ!!?」

 ドガアッ!!!

 間一髪で躱したのは神の御加護か作者の慈悲か。
 「三十六計逃げるにしかずっ」
 かごめは後ろも振り向かず脱兎の如くに逃げ出した。

 「追うでっ 犬っ!」
 「・・・・・・」

 一方かごめは路地裏に飛び込むと勝手知ったる他人の裏庭、塀を乗り越え盆栽を蹴飛ば
 し猫の尾を踏み犬に吠えられガキに笑われひらめくパンチラに「ラッキー」と振り向く
 おやじの頭をどつき倒したい衝動をグッとこらえて走った走った足も折れよと走り尽く
 した。追う犬夜叉も傍若無人なことにかけてはかごめと選ぶところはない。蘭を背に
 乗せかごめ目指してひたすらに直線距離を突き進む。

 重厚な破壊音を背にかごめの脳味噌は激しく回転した。
 「どうする?どうする??
  ・・・・・・そうだ!!桜だ! 
  こんな時ぐらいあの娘にも役に立ってもらわなくちゃあ!」
 桜がのんきに惰眠を貪っている鏡のある住田研究所はここからそう遠くではない。
 方向もちょうどいい加減である。かごめは一家団欒の食卓を蹴って一路住田研究所へと
 向かった。

 「どっちじゃ?犬」
 クン・・・
 犬夜叉は鼻を利かせると、無言である一方を見据えた。
 「・・・よし いけっ!」
 両者の距離は明らかに縮まりつつあった。


 ずどどどどどどどどどどどどっ  ばんっ

 「ん?おぬしは・・・・」
 「どけぇっ!じじいっ!!」

 ばき  

 かごめは意にもかけずに老人の顔を踏み潰し、一直線に鏡へ走った。
 「桜っ!起きろっ!朝だっ!時間だっ!
  こらっ!起きろっつってんだろっ!このボケ!カス!まぬけーーーーーっ!」
 その時、音も無く空気がゆらめき、幼女の姿をとってふわりと現れた。
 「・・・かごめ」
 「さ・・・さくらぁぁ・・・」
 「・・・死ね」
 「え?」

 桜はかごめの両肩をつかむと、一気に鏡の中へと引きずりこんだ。


                                    つづく


#231/350 るーみっく考察・創作室 コメント数(0)
★タイトル (MRN59168) 97/11/21 20: 3 ( 74)
犬夜叉>新たなる伝説7>過去へ       パソ通2年生
★内容

 鏡の中に、かごめが引きずりこまれたと同時に、魂食い(たまぐい)の蘭と
犬夜叉が部屋に飛び込んできた。

 「あのアマ!どこへ、消えやがった!」
 「犬っ!捜せ!」

 犬夜叉は鼻をクンクンさせると、鏡の前に立ち止まった。
 「この中に逃げこんだな・・・。逃がしゃ、せんでえぃ!」
  蘭は、にやりと笑うや否や、今や蘭の忠実な犬と化した犬夜叉の尻をたたき
 「ハイヨー!シルバー」と無茶苦茶懐かしいフレーズを叫びながら、犬夜叉と
 ともに鏡の中に飛び込んで行ったのだった。

  後には、かごめによって無惨にも顔を踏みつぶされ気絶しているじいさんだ
 けが部屋に残されていただけ・・・。

  鏡の中は、霧につつまれていた。その中で、かごめと桜が睨み合っている。

 「さくら!どうして、私を殺そうとするの!」
 「それは、おまえが一番よく知っているはず。」
  そう言うなり、桜は・・・・・左手を高々と上げた。
   そこには、いつの間にやら弓が握られていた。
 「いまこそ、300年にわたる桜一族の恨みを晴らすとき。かくご!かごめ」
  桜は、弓をかごめに向けた。

 「?!」
   かごめには、全く何が何だかわからなかった。「なんで、私が殺され
  なきゃなんないのよ!桜一族の恨み?何それ?信じられな〜い!」かごめは思
  わず叫んだ。
 
  しかし、そんな彼女の怒りを無視しつつ。
 「問答無用!死ね!」桜は、そう言うなり弓の弦を引いた。
 「やられる!」かごめが目をつぶった瞬間。

 「どかん!!」というものすごい音が。
   かごめが、目を開けてみると・・・。さっきまで彼女を追いかけていた、蘭と
  犬夜叉が桜と絡まっていた。

「このアマ、どこ目あけてるんじゃ!」
 「黙れ!きさまこそ、いきなり現れれおって!」
 「キャン!キャン!キャン!」
二人と一匹が、もみくちゃになっている状態を見るや・・。

 「チャン〜ス!」という言葉とともに、かごめは一目散にその場から逃げだした。

 どれくらい走ったのだろうか、しばらくすると前方に光が見えてきた。
 「え〜い!ままよ・・・」
  かごめは、光の中に飛び込んだ!

  その日、男はまだ暗闇が残る中、布団を跳ね上げた。
 「せっかく、生類憐れみの令を作り、しかも特に犬に関しては厚く保護してきたのに

  どうして余には子どもが出来ないのじゃ・・・。おまけに、最近巷では赤穂・赤穂

  とやかましいし、もうこうなればヤケだ!」
   男はそうブツブツいいながら何か決意したのか、枕元においてあった桜の紋がつ

  いている重箱を手元に取り寄せ開けた。そこには、1枚の手鏡があった。

 「あの、巫女が言っていたのは、本当だろうか・・」
   男は、手鏡を取り出し何やら呪文らしき言葉を呟きはじめた。

   どれくらい時間が経っただろう・・・すでに朝日が部屋に差し込んでいた。
 
 「やはり、何も起きぬか・・・。しょせん、こんなことでは、子どもは授かるまいて
。」オ/ヌ0柾8沛G

   男は心の中で舌打ちしながら、手鏡を重箱の中に戻そうとした・・・。

  その時突然、ものすごい光が鏡の中から発せられた。
 その瞬間、一人の少女が鏡の中から現れた。かごめであった。

                            つづく
     
                          パソ通2年生(MRN59168)


#290/291 るーみっく考察・創作室
★タイトル (ZUN44102) 98/ 8/ 7 9:22 ( 29)
犬夜叉新たなる伝説
★内容

「おい、娘、しっかりしろ。」
かごめが目を覚ますと、見知らぬ二人が
心配そうに見ている。
「ここは・・・・」
かごめが問い掛けると、
「四魂の村です。」
と、女の人が答えた。
男の人の方は髪をおさげにしている。
女の人の方はショートカットで、ボーイッシュな感じである。
「あたい、かごめ、石つぶてのかごめだ。」
「俺、乱馬。」
「あたしは、茜よ。」
かごめは、あたりを見た。
(かなりボロい家だな・・・・)
「うぅ・・・・・・」
突然、茜が泣きだした。
「ど、どうした?」
「・・・・きいてくれます・・・?」
茜の話によると、3日まえ、この国の殿様がある病気にかかってしまった。
しかし、その病気にかかってから、毎晩、女十人をつれてこい、
と、言うらしいのだ。
「今宵は、家の茜が連れていかれる・・・・・・」
ふむ、ふむ、と話を聞いているかごめの耳元で
「おい、おい」
と、呼ぶ声がした。



             つづく


小説転載コーナーTOPへ戻る

Copyright © 1999-2001. SIG るーみっく・わーるど
このサイトで公開されている全ての文章・画像などを許可なく転載することを禁じます。